2026年9月9日
その税理士、年に1回しか会えていませんか
「なんとなく不安」の正体
工務店の社長さんと話していると、よくこんな声を聞きます。
「税理士さんにはお願いしているけど、なんとなく不安が消えない」
売上はある。仕事も途切れていない。それでも、お金のことになると心のどこかがざわざわする。この「なんとなく」の正体は、たいてい「今、自分の会社がどうなっているか」を、自分の言葉で説明できないことから来ています。
税理士さんは、会社のお金の状態をいちばん近くで見てくれる専門家です。でも、その付き合い方が合っていないと、せっかくの専門家が「不安を消してくれる人」ではなく「よくわからないけど毎年払っているもの」になってしまいます。
今日は、今の税理士さんとの付き合い方を見直すサインと、見直し方について、一緒に考えてみたいと思います。
こんな状態なら、見直しどきのサイン
すべて当てはまる必要はありません。1つでも心当たりがあれば、一度立ち止まって考える価値があります。
会うのが年1回、決算のときだけ
決算の書類を届けて、ハンコを押して終わり。それだけの付き合いだと、1年間のお金の動きを振り返る機会がほとんどありません。工事の受注が増えた、材料費が上がった、そうした変化に気づくのが1年後では、手を打てることも打てなくなってしまいます。
試算表が出てこない、見せてもらえない
試算表とは、今月までの会社の成績表のようなものです。これを毎月、あるいは数ヶ月に一度は見せてもらい、説明を受けられるのが本来の姿です。「決算のときにまとめて渡します」という状態が続いているなら、社長は1年のほとんどを「今のところ黒字か赤字かもわからない」まま経営していることになります。
聞きたいことを聞きづらい
「こんな初歩的なこと聞いていいのかな」「忙しそうだから遠慮しよう」。そう感じる相手だと、聞くべきタイミングで聞けず、あとで困ることになりがちです。専門用語で説明されてよくわからなかった、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
節税や資金繰りの相談に乗ってくれない
「税金の計算をする人」と「経営の相談に乗ってくれる人」は、本来同じ税理士さんでも役割が違います。決算書を作るだけで終わっていて、「来月の支払い、大丈夫ですか」「この投資、今のタイミングでいいですか」といった相談ができていないなら、もったいない付き合い方をしているかもしれません。
乗り換えは、失礼なことではありません
ここで大事なことをお伝えします。税理士さんを変えることは、決して失礼なことでも、恩知らずなことでもありません。
長く付き合ってきた相手だと、「今さら変えるのは申し訳ない」という気持ちが出てくるのはよくわかります。でも、税理士さんとの契約は、経営を支えてもらうための大切な経営判断のひとつです。今の会社の規模やフェーズに、今の付き合い方が合っているか。それだけの基準で考えて大丈夫です。
住宅リフォームでも、お客様のご要望や暮らしの変化に合わせて、提案する内容を変えていくはずです。税理士さんとの関係も同じで、会社が変われば、必要なサポートも変わっていきます。
今週できる、小さな一歩
いきなり乗り換え先を探す必要はありません。まずはこの1つだけ、試してみてください。
次に税理士さんと話す機会に「毎月、試算表を見ながら15分だけ話す時間をもらえますか」と聞いてみる。
この一言に対する返事で、多くのことがわかります。快く応じてもらえるなら、今の関係を育てていけばいいですし、はっきりしない返事だったり、難しそうな雰囲気だったりするなら、それが1つの判断材料になります。
もし今、顧問の税理士さんがいないという場合は、まず自分の手元のお金の流れを月単位で把握することから始めてみてください。それだけでも、次に専門家に相談するときの話がぐっとスムーズになります。
なお、税金や制度に関する具体的な取り扱いは変わることがあります。個別の判断は、必ず税理士や公的な窓口で最新の情報を確認してください。
まとめ
- 年1回しか会わない、試算表が出てこない、質問しづらいは見直しのサイン
- 税理士は「税金の計算をする人」ではなく「経営の相談相手」として付き合えるのが理想
- 乗り換えは失礼なことではなく、会社の成長に合わせた経営判断
- 今週は「毎月15分、試算表を見ながら話す時間」を1つお願いしてみる
お金の見通しが立てば、社長の決断はもっと速くなります。まずは小さなひとことから、今の付き合い方を確かめてみましょう。