2026年9月21日
前受金(着手金)は失礼ではない。伝え方の一言例文つき
「お金の話をするのが気まずい」その気持ち、わかります
工事が決まって、いざ契約というときに「着手金として、工事代金の3割をお願いします」と伝えるのは、ちょっと勇気がいりますよね。
「お金にうるさいと思われないか」「信頼されていないと思われないか」——そんな不安から、つい言い出せずに、材料を仕入れて、職人さんの手配をして、着工してから何ヶ月も先の完成時にまとめて請求、という流れになっていないでしょうか。
でも、着手金をお願いすることは、失礼でも特別なことでもありません。むしろ、多くの業種で「先にお願いするのが普通」のこととして扱われています。今回は、着手金を「お願いしていいもの」として捉え直すところから始めます。
なぜ着手金が必要なのか
理由はシンプルで、工事は「先にお金が出ていく仕事」だからです。
材料の仕入れ、下請けさんへの支払い、人件費——これらは工事が完成する前から発生します。それなのに入金は完成後、というやり方では、工務店側が一時的にお金を立て替え続けることになります。
これが積み重なると、黒字で仕事が順調でも、手元の現金が足りなくなる、ということが起こります。着手金は、この「立て替え続ける苦しさ」をやわらげるための、ごく普通の仕組みなのです。
大きな会社ほど、実はこのあたりの契約条件がきっちりしています。着手金・中間金・完成後の残金、というように分けて払ってもらう流れは、決して特別扱いではありません。
金額の目安をどう考えるか
「では何割お願いすればいいのか」という正解は、実はありません。工事の規模、材料費が先にどれくらい出ていくか、工期の長さによって変わってくるからです。
考え方の軸としては、次の2つを見てみてください。
- その工事で、材料費や外注費が先にどれくらい出ていくか。 出ていくお金が大きい工事ほど、着手金の割合も厚めに考える。
- 工期がどれくらい長いか。 工期が長い工事は、途中で「中間金」を挟むことも選択肢になります。
小さな修繕工事であれば着手金なしでも回るかもしれませんし、リフォーム一式のような大きな工事であれば、3割前後をお願いする工務店も少なくありません。まずは自社の直近の工事を数件振り返り、「材料費が先にいくら出ていったか」を確認するところから始めてみてください。そこに、無理のない着手金の割合のヒントがあります。
お客様への伝え方
伝え方で大事なのは、「申し訳なさそうに」ではなく「当たり前のこととして、あらかじめ伝える」ことです。見積書を出すタイミングで、支払い条件として先に書いておくと、後出しで言うより角が立ちません。
例えばこんな言い方です。
「工事にかかる材料の手配がございますので、契約時に工事代金の◯割を着手金としてお願いしております。残りは完成時のお支払いとなります。」
ポイントは2つあります。
- 理由とセットで伝える。 「材料の手配のため」「職人の手配のため」など、なぜ必要かを一言添えると、単なるお金の要求ではなく、工事を進めるための段取りだと伝わります。
- 見積書に最初から書いておく。 契約の直前に口頭で切り出すより、見積書の支払い条件欄に記載しておくほうが、お客様も心の準備ができ、あなたも言い出しやすくなります。
一度この言い方とタイミングを決めてしまえば、次からは毎回同じように伝えるだけで済みます。
まとめ
- 着手金は失礼なことではなく、工事のお金の流れを整える普通の仕組みです
- 金額の目安は、材料費・外注費がどれだけ先に出ていくか、工期の長さから考えます
- 伝え方は「理由とセット」で、見積書の段階からあらかじめ書いておきます
- 支払い条件の細かい相談は、税理士に一度整理してもらうのも一つの方法です(制度や商習慣は変わることがあるので、最新の考え方は税理士や関係窓口にも確認してみてください)
まずは直近の工事を1件振り返って、「材料費が先にいくら出ていたか」を確認するところから始めてみましょう。