2026年9月6日
決算書は社長の健康診断書。最低ここだけ見る3つの数字
決算が終わると、分厚い決算書を税理士さんから受け取って、そのままファイルにしまい込んでいませんか。中身をじっくり読まなくても責める人はいません。ただ、それではせっかくの「健康診断の結果」を見ずに捨てているのと同じです。
決算書は、会社の1年間の健康状態を数字にしたものです。人間ドックの結果表と同じで、専門用語だらけで難しく見えますが、本当に見るべき数字は驚くほど少なくて済みます。今日は、その中でも「最低ここだけ」という3つの数字を紹介します。
難しい分析はいりません。「去年の自分」と比べるだけ
決算書の数字を見るとき、同業他社や業界平均と比べようとすると、条件が違いすぎて疲れてしまいます。おすすめは、去年の自分の数字とだけ比べることです。
「去年より増えたか、減ったか」「増えた・減ったのはなぜか、心当たりはあるか」。この2つの問いに答えられれば、それだけで立派な決算書の読み方です。健康診断でも、他人の数値より「去年の自分の数値からの変化」の方が気になりますよね。それと同じ考え方です。
見る数字1つ目「売上」
まずは基本の売上です。決算書では「売上高」という欄にあります。去年と比べて増えたか減ったか、まずはそれだけ確認しましょう。
ただし売上だけを見て一喜一憂するのは危険です。売上が伸びていても、次に紹介する粗利や現金が減っていることもあるからです。売上は「体重」のようなもので、増減の理由を後の2つの数字とあわせて見る必要があります。
見る数字2つ目「粗利(あらり)」
粗利とは、売上から材料費や外注費など、その工事に直接かかった原価を引いた金額です。決算書では「売上総利益」という欄で確認できます。
粗利は、会社の人件費や家賃、事務経費などをまかなう元になるお金です。売上が伸びても粗利率(売上に対する粗利の割合)が下がっていれば、それは「安く受けすぎている」「原価が上がっている」といったサインかもしれません。去年の粗利率と、今年の粗利率を並べて比べてみてください。数パーセントの違いでも、金額にすると案外大きな差になっていることがあります。
見る数字3つ目「現金残高(または借入残)」
3つ目は、通帳に残っているお金、つまり現金残高です。あわせて、借入がある場合はその残高も見ておきましょう。
決算書が黒字でも、手元の現金が減っていることがあります。工事代金の入金より先に材料費や職人さんへの支払いが出ていく工務店の仕事では、よくあることです。売上や利益と違い、現金残高は「今どれだけ余裕があるか」を最も正直に表してくれる数字です。去年の同じ時期の残高と比べて、増えているか減っているかを確認しましょう。
税理士さんへの質問例
決算書を渡されたときに、次のように聞いてみると、数字の意味がぐっとつかみやすくなります。
- 「去年と比べて、粗利率は上がっていますか、下がっていますか」
- 「現金が増えた(減った)理由は、どのあたりにありますか」
- 「来年、特に気をつけた方がいい数字はどれですか」
抽象的に「経営どうですか」と聞くより、この3つの数字にしぼって聞く方が、具体的な答えが返ってきやすいはずです。制度や会計の考え方は年によって変わることもあるので、細かい数字の見方や税金に関わる判断は、最新の情報を税理士さんに確認しながら進めてください。
まとめ
- 決算書は難しく分析しなくてよい。去年の自分と比べるだけで十分
- 見るのは「売上」「粗利」「現金残高(借入残)」の3つだけ
- 黒字でも現金が減っていることがあるので、現金の増減は必ずチェック
- 税理士さんには「去年との違い」を具体的に聞くと答えが得やすい
まずは今期の決算書と去年の決算書を並べて、この3つの数字だけ書き出してみることから始めてみませんか。