2026年9月29日
「経営に強い税理士」と、数字を計算するだけの税理士の違い
決算書を作る人と、一緒に考える人は別
工務店の社長さんから、こんな話をよく聞きます。
「税理士には毎年ちゃんとお金を払っている。でも、決算のときに数字を渡されるだけで、正直何を相談していいか分からない」
これは珍しいことではありません。税理士の仕事は本来とても幅広いのですが、多くの事務所では「1年分の数字をまとめて、税金を計算する」ところまでが中心になりがちです。過去の集計は正確にやってもらえる。でも、「来月お金が足りるか」「この融資は受けていいのか」「この工事を受けて大丈夫か」といった、これから先の判断には手が届かないことがあります。
この記事では、その違いを「未来を一緒に考えてくれるかどうか」という切り口で整理してみます。
過去を数える人、未来を一緒に見る人
税理士の仕事は、大きく分けると2つの方向があります。
一つは「過去を正確に数える」仕事です。1年間の売上や経費を集計し、税金を計算して申告する。これは税理士としての基本の仕事で、どの事務所でもきちんとやってくれます。
もう一つは「未来を一緒に見る」仕事です。今の数字から、この先3ヶ月・半年のお金の流れを一緒に考える。融資を受けるときに、銀行に出す資料の作り方や伝え方を一緒に考える。「この工事、利益は出ているけれど手元のお金は大丈夫か」といった、経営判断そのものに関わる相談に付き合ってくれる。
工務店の経営で本当に怖いのは、実は税金の額そのものより、「今月お金が足りるかどうか」が見えないまま毎日を過ごすことです。黒字でも、入金より先に材料費や人件費が出ていけば、手元のお金は減っていきます。この「資金繰り」の感覚まで一緒に持ってくれる税理士かどうかで、社長が相談できる幅はまったく変わってきます。
見分けるための質問例
とはいえ、初対面や毎年の面談で「未来まで見てくれますか?」と聞いても、答えはどうとでも言えてしまいます。そこで、もう少し具体的な質問を用意しておくと、事務所の姿勢が見えやすくなります。
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「試算表は、いつ・どんな形でもらえますか」 1年に1回の決算だけでなく、月ごとの試算表(今月までの成績表のようなものです)を出してくれるかどうかは、日頃から数字を見ているかの目安になります。
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「今の資金繰りについて、どう見ていますか」 決算書の数字だけでなく、手元のお金の状況について感想や意見を言ってくれるかどうかを見てみましょう。
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「融資を考えているとき、一緒に資料を考えてもらえますか」 銀行に出す資料づくりや、金額・時期の相談に付き合ってくれるかは、事務所によって差が大きい部分です。
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「この工事、受けても大丈夫か、といった相談もできますか」 税金の計算だけでなく、経営の相談相手になってくれるかどうかを確かめる質問です。
これらの質問に、具体的なやり方や頻度で答えてくれる事務所は、未来を一緒に見る姿勢を持っていることが多いです。逆に「決算のときにまとめてやります」という答えが中心なら、それは悪いことではありませんが、社長が求めている役割とはズレているかもしれません。
今の税理士との関係を、まず振り返ってみる
もし今すでに税理士がいるなら、いきなり変えることを考える前に、次に会うときに上の質問を一つでも聞いてみることをおすすめします。答え方や反応で、今の関係が「数字を作ってもらう関係」なのか、「一緒に考えてもらえる関係」なのかが見えてくるはずです。
税金や融資、補助金といった制度は時期によって内容が変わります。この記事に書いた考え方はあくまで一般的な目安ですので、最新の内容や自社にとっての具体的な判断は、税理士や関係する窓口に直接確認してください。
お金の不安は、一人で抱えているうちにどんどん大きくなります。数字が見える相手が一人いるだけで、社長の決断はずっと速くなります。
まとめ
- 税理士の仕事には「過去を数える」役割と「未来を一緒に見る」役割がある
- 工務店経営で怖いのは税金より「今月のお金が足りるか」が見えないこと
- 「試算表の頻度」「資金繰りの見方」「融資の相談」「工事の可否相談」の4つを聞いてみる
- 制度の詳細や個別の判断は、必ず税理士や窓口で最新情報を確認する
次に税理士と会う機会があれば、決算書の中身だけでなく、この4つの質問を一つ投げかけてみてください。