2026年9月24日
廃業する会社は赤字より「現金切れ」で倒れる
「儲かっていたのに、なぜ潰れたのか」の答え
同業者の廃業の話を聞いて、「あそこ、仕事は途切れてなかったのに」と不思議に思ったことはないでしょうか。
実はこれ、珍しい話ではありません。決算書の上では黒字、つまり利益は出ているのに、会社が倒れる。これを「黒字倒産」と呼びます。原因はシンプルで、利益と手元の現金は、同じものではないからです。
材料費を先に払い、工事が終わって請求書を出し、実際にお金が振り込まれるのは1〜2ヶ月後。この「入るまでの間」が長いほど、帳簿の上の利益とは関係なく、手元のお金は減っていきます。そして支払いの日に現金が足りなければ、その時点で会社は続けられなくなります。利益がどれだけあっても、関係ありません。
会社を止めるのは「赤字」ではなく「現金切れ」
これは工務店に限らず、廃業や倒産の多くに共通する構造です。原因は様々でも、直接の引き金になるのは、決まって「払うべきお金が、払う日に、口座にない」という事実です。
裏を返せば、手元の現金さえ切らさなければ、多少の赤字月があっても会社は続けられるということです。逆に言うと、いくら利益が出ていても、現金の管理を怠れば危険信号は見逃されます。
だからこそ、社長が本当に見るべき数字は「今月の利益」より先に、「今、口座にいくらあるか」「来週・来月、いくら出ていくか」なのです。
今週からできる、いちばん小さな一歩
むずかしい会計の知識は要りません。まずはこれだけで十分です。
1. 毎週決まった曜日に、通帳(ネットバンキング)の残高を見る
月曜の朝でも、金曜の夕方でも構いません。「見る曜日」を決めることが大事です。頭の中で覚えておくのではなく、決まったタイミングで数字として確認する。それだけで、減り方の異変に早く気づけるようになります。
2. 今後1ヶ月の「出ていくお金」を書き出す
・材料代の支払い ・外注さん、職人さんへの支払い ・リース代、車両代 ・税金や社会保険料 ・自分や家族の生活費分
紙でもスマホのメモでも構いません。日付と金額を並べるだけで、「今月は大丈夫」「来月の15日が要注意」といった見通しが立ちます。
3. 「入ってくるお金」もあわせて書く
今抱えている現場の、請求予定日と入金予定日を並べてみてください。工事は終わっているのに入金がまだ先、という現場が意外と多いことに気づくはずです。この「時間差」を意識できているかどうかが、資金繰りの土台になります。
この1〜3をあわせたものが、いわゆる「資金繰り表」です。完璧なものを作る必要はありません。まずは今月と来月の分だけ、手書きでもいいので埋めてみてください。
見通しが立つと、社長の決断は速くなる
お金の不安の多くは、「いくら足りないか分からない」ことから来ています。逆に言えば、来月の入りと出がだいたい見えていれば、「今のうちに一件でも早く回収の連絡をしておこう」「この支払いは少し交渉しよう」といった手が、余裕を持って打てます。
もし表を作ってみて、数ヶ月先まで見ても心配が残るようなら、一人で抱え込む必要はありません。数字の見方や、資金繰りの整え方は、税理士に相談できる領域です。決算のときだけでなく、日々のお金の流れについても、遠慮なく聞いてみてください。
なお、融資や制度を使った資金調達を検討する場合、条件や内容は変わることがあります。最新の情報は、税理士や金融機関の窓口で必ず確認するようにしてください。
まとめ
- 会社が倒れる直接の原因は「赤字」ではなく「現金切れ」
- 黒字でも、入金までの時間差でお金は減っていく
- まずは毎週決まった曜日に、口座の残高を確認する
- 今後1ヶ月の「出ていくお金」「入ってくるお金」を書き出してみる
- 見通しが立つほど、社長の決断は速く、迷いは減っていく
今週、通帳を開いて残高を確認する曜日を、まず1つ決めてみましょう。