2026年8月15日
通帳を「3つの財布」に分けると、お金の流れが見える
「なんとなく不安」の正体は、通帳が1つだから
売上の入金も、材料費の支払いも、税金の積立も、全部同じ通帳の中で動いている。そんな状態だと、通帳の残高を見ても「これは使っていいお金なのか、それとも来月払う分なのか」がすぐには分かりません。
数字は増えたり減ったりしているのに、それが何のためのお金か分からない。この「分からなさ」こそが、社長を不安にさせている正体だったりします。逆に言えば、お金の中身が仕分けされていれば、残高を見た瞬間に状況が分かり、判断も速くなります。
通帳を3つの財布に分けてみる
やり方はシンプルです。銀行口座を3つ用意して、お金の役割ごとに分けるだけです。あくまで一例として、こんな分け方があります。
① 入金用の財布
お客様からの工事代金が入ってくる口座です。この口座には基本的に、入ってきたお金をそのまま置いておかず、次に紹介する2つの口座に振り分けていくイメージです。「稼ぐ窓口」として、入ってくるお金の流れをまず一本化するのが目的です。
② 支払い用の財布
材料費、外注費、家賃、給料など、日々の支払いに使う口座です。ここに入っているお金は「もう出ていく予定のお金」なので、いくら残っていても自分の懐が痛む買い物には使わない、と決めておくと安心です。
③ 税金・将来のための貯め口座
消費税や法人税・所得税、社会保険料など、あとでまとまって出ていくお金や、修繕・車両の買い替えといった将来の備えのための口座です。この口座は「見ない」「触らない」がコツです。入金があるたびに、決めた割合を機械的にこちらへ移してしまうと、うっかり使ってしまうことを防げます。税金の額や納め方の制度は変わることがあるので、具体的な金額の目安や納税のタイミングは税理士や税務署の窓口で確認しておくと安心です。
分けるとなぜ見えるようになるのか
3つに分けると、それぞれの通帳の残高が、そのまま「今使えるお金」「これから出ていくお金」「触ってはいけないお金」の答えになります。通帳を開くたびに頭の中で計算し直す必要がなくなり、見た瞬間に状況が分かるようになります。
これは黒字・赤字とは別の話です。工事が順調に進んで売上が上がっていても、支払いと入金のタイミングがずれれば、手元のお金は苦しくなることがあります。売上の数字だけでなく、「今月いくら入って、いくら出ていくか」という現金の流れを見る癖をつけることが、資金繰りの基本です。
今週やってみること
今すぐ3つの通帳を新規に作らなくても構いません。まずは今使っている通帳の中で、「これは支払い用」「これは税金用」とノートやアプリでメモ程度に色分けしてみるだけでも、見え方は変わります。慣れてきたら、実際に口座を分けて、入金のたびに決めた金額を移す、という流れにしてみてください。
お金の管理は、社長ひとりで抱え込む必要はありません。分け方や積み立てる割合に迷ったときは、税理士など専門家に相談しながら、自社に合ったやり方を見つけていくのがおすすめです。
まとめ
- お金の不安の多くは、通帳が1つで「何のためのお金か」が見えないことから生まれる
- 「入金用」「支払い用」「税金・将来のための貯め口座」の3つに分けると、残高がそのまま今の状況を教えてくれる
- 黒字でも現金が足りなくなることはあるので、売上だけでなく現金の流れを見る癖をつける
- まずは今週、通帳の中身をメモで色分けするところから始めてみましょう
通帳を分けて残高を見るだけで、これまで頭の中でしていた計算が要らなくなり、その分、社長の判断は速くなります。