2026年8月31日
家族経営どんぶり勘定卒業。財布を分ける一歩
会社のお金と生活費、いつのまにか混ざっていませんか
一人親方や家族経営の工務店でよくあるのが、会社の口座から生活費を自由に引き出してしまう状態です。材料費を払った通帳から、そのまま食費や子どもの学費を払う。逆に、会社の支払いが厳しいときは自分の貯金を足す。こうしたやり取りを繰り返していると、「今、会社にいくら残っているのか」が誰にも分からなくなります。
これは真面目にやっていないからではありません。忙しい毎日の中で、財布を分ける「仕組み」がまだないだけです。仕組みさえあれば、社長の頭の中はぐっと軽くなります。
お金が混ざると何が困るのか
一番の問題は、会社の実力が見えなくなることです。今月は儲かったのか、実は苦しいのか。生活費と混ざった通帳を見ても、パッと答えられません。
さらに、忙しい時期にどんぶり勘定のまま突っ走ると、税金の支払い時期に「思ったよりお金が残っていない」と慌てることにもつながります。銀行に融資の相談をするときも、生活費と会社のお金が混ざった通帳では、会社の状態を説明しづらくなってしまいます。
財布を分けることは、細かいルールを守るためではなく、社長自身が「今、会社は元気かどうか」をいつでも自分の目で確認できるようにするための工夫です。
「役員報酬」という考え方
分ける方法として昔から使われているのが、社長自身への「給料」を決めて、毎月決まった日に決まった額だけ、会社の口座から生活用の口座へ移すというやり方です。これを役員報酬(法人であれば正式な給料)と呼びます。
ポイントは「儲かった月は多め、厳しい月は少なめ」にしないことです。金額を毎月変えてしまうと、結局どんぶり勘定に逆戻りしてしまいます。多少売上に波があっても、生活に必要な最低限の額を「定額」で決めて、淡々と移す。これだけで、会社の口座には「事業のお金」だけが残るようになります。
個人事業主の場合は法人とは扱いが異なりますし、金額の決め方や税金への影響は、会社の状況によってかなり変わります。ここは踏み込みすぎず、「毎月定額で分ける」という考え方だけ持ち帰っていただければ十分です。具体的な金額や手続きは、税理士や商工会議所の窓口に相談しながら決めるのが安心です。制度や取り扱いは変わることがあるので、必ず最新の情報を確認してください。
今週やってみる小さな一歩
いきなり金額を決めなくても大丈夫です。まずは次の1つだけ試してみてください。
会社用の口座と、生活用の口座を、物理的に2つに分けること。すでに口座が分かれているなら、今月のうち何回、生活費として会社口座から引き出したかを数えてみることです。回数が多いほど、財布が混ざっているサインです。
数える作業だけでも、「毎月バラバラに引き出している」という現実が見えてきます。そこから、「じゃあ来月は決まった日に、決まった額だけ移してみよう」という次の一歩が自然に見えてきます。
まとめ
- 生活費と会社のお金が混ざると、会社の本当の元気度が見えなくなる
- 「役員報酬」として毎月定額を移す考え方が、財布を分ける第一歩になる
- 金額や手続きの細かい判断は税理士や窓口に相談を(制度は変わるので最新確認を)
- 今週は、会社口座から生活費を引き出した回数を数えることから始めてみましょう
財布が分かれると、通帳を見るたびに感じていた小さな不安が、ひとつ減ります。