2026年8月12日
どんぶり勘定から抜け出す、工事1件ごとの「利益メモ」のすすめ
「今月は忙しかったのに、お金が残ってない」の正体
繁忙期なのに、なぜか通帳の残高が増えない。そんな感覚を持ったことはありませんか。
原因のひとつは、工事ごとの利益を見ていないことです。月の売上はレシートや請求書の合計でなんとなく分かっても、「どの工事が儲かって、どの工事が赤字だったか」は、頭の中でぼんやりとしか把握できていないことが多いものです。
これがいわゆる「どんぶり勘定」です。忙しい社長にとって、工事ごとに細かく数字を追うのは正直しんどい作業。でも、やり方さえ決めてしまえば、5分もかからずにできます。
工事1件につき、メモ1枚でいい
やることはシンプルです。工事が終わったら、その工事についてこの3つだけを書き出します。
- もらったお金:お客様からの入金額(契約金額)
- かかったお金:材料費、外注・職人さんへの支払い、現場でかかった経費の合計
- 残ったお金:もらったお金からかかったお金を引いた金額
ノートでも、スマホのメモでも、表計算ソフトでも構いません。大事なのは「工事ごとに1行(1枚)」で残すことです。月の売上をひとまとめにするのではなく、「浴室リフォーム・○○様」「外壁塗装・△△様」というように、案件単位で分けて書きます。
かかったお金を書き出すときのポイントは、材料費や外注費だけでなく、現場に何度も足を運んだ分のガソリン代や、打ち合わせにかかった時間も、できる範囲でメモに入れておくことです。細かい按分計算までは不要ですが、「この工事は思ったより手間がかかったな」という感覚を、あとで数字と一緒に思い出せるようにしておくと、精度が上がっていきます。
月末に並べてみると、得意な工事が見えてくる
1件ずつのメモがたまったら、月末に全部並べて見返してみてください。ここが一番大事な工程です。
同じような規模の工事なのに、残ったお金に差が出ていることに気づくはずです。たとえば「水まわりのリフォームは毎回きちんと残る」「外構工事は手間のわりに残りが少ない」といった傾向です。
これは、どんぶり勘定のままでは絶対に見えてこない情報です。売上の合計だけを見ていると、忙しく動いた工事ほど「頑張った」という印象が残りますが、実際にお金が残ったかどうかは別の話です。
見えてきた傾向は、今後の営業や見積もりの方針にそのまま活かせます。得意で利益も残る工事を優先的に案内する、逆に残りにくい工事は見積もりの組み方を見直す、といった判断が、感覚ではなく数字に基づいてできるようになります。
まずは直近3件だけでやってみる
いきなり全部の工事を振り返ろうとすると、それだけで疲れてしまいます。まずは、直近で終わった工事を3件だけ選んで、このメモを作ってみてください。
3件並べるだけでも、「あれ、この工事は思ったより残ってないな」という発見があるはずです。そこから、少しずつ習慣にしていけば十分です。
なお、工事ごとの利益は見えても、「今月お金が足りるかどうか」は入金と支払いのタイミング次第で変わってきます。そのあたりの資金繰りの考え方や、経費の分け方で判断に迷う部分は、税理士に相談しながら整理すると安心です。制度や会計のルールは変わることがあるので、最新の情報は税理士や窓口で確認することをおすすめします。
まとめ
- 工事が終わるたびに「もらったお金・かかったお金・残ったお金」を1枚のメモに残す
- 月の売上をひとまとめにせず、案件ごとに分けて書くのがポイント
- 月末に並べて見返すと、得意な工事と赤字体質な工事の傾向が見えてくる
- まずは直近3件だけ試してみて、少しずつ習慣にしていけば十分です
まずは今週終わる1件から、メモを1枚書いてみませんか。